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東京地方裁判所 平成元年(特わ)214号 判決 1989年7月06日

本店所在地

東京都品川区上大崎二丁目二四番一一号

株式会社バリューインターナショナル

(右代表者代表取締役 今川盛揮)

本籍

同都世田谷区深沢五丁目一二番

住居

同所五丁目一二番七号

会社役員

阿部正之

昭和一三年一月一〇日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官渡辺咲子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社バリューインターナショナルを罰金四〇〇〇万円に、被告人阿部正之を懲役一年二月にそれぞれ処する。

被告人阿部正之に対し、この裁判確定の日から三年間、その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社バリューインターナショナル(昭和六一年六月二九日以前の商号は株式会社日昇、同月三〇日から同六三年一一月二一日までの商号は株式会社日昇ランド。以下、被告会社という。)は、東京都品川区上大崎二丁目二四番一一号(同六一年七月一日から同六三年一一月二一日までは同都渋谷区西原三丁目一番四号)に本店を置き、宅地建物取引業務及び建築木材の販売等を目的とする資本金四〇〇万円の株式会社であり、被告人阿部正之(以下、被告人という。)は、被告会社の実質的経営者ないし代表取締役として同会社の業務全般を統括してきたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空の支払手数料を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和五八年五月一日から同五九年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三四五三万九五四二円あった(別紙1修正損益計算書参照)のにかかわらず、同五九年六月二七日、東京都港区高輪三丁目一三番二二号所在の所轄品川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五万四三〇二円でこれに対する法人税額が七六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成元年押第四四七号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一三九六万二二〇〇円と右申告税額との差額一三九五万四六〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れ、

第二  同五九年五月一日から同六〇年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億四一二八万四二四円あった(別紙3修正損益計算書参照)のにかかわらず、同六〇年六月二九日、前記品川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五三七万二五九三円でこれに対する法人税額が一五六万五七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成元年押第四四七号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額六〇〇九万七〇〇円と右申告税額との差額五八五二万五〇〇〇円(別紙4脱税額計算書参照)を免れ、

第三  同六〇年五月一日から同六一年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億七二三九万五〇二七円あった(別紙5修正損益計算書参照)のにかかわらず、同六一年六月三〇日、前記品川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一二七万二四円でこれに対する法人税額が零円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成元年押第四四七号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額七〇〇六万九二〇〇円(別紙6脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書五通

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  受取仲介手数料調査書

2  期首商品棚卸高調査書

3  土地建物仕入調査書

4  期末商品棚卸高調査書

5  支払仲介手数料調査書(一七枚綴のもの)

6  支払手数料調査書

7  紹介手数料調査書

8  名義料調査書

9  租税公課調査書

10  受取利息調査書

11  支払利息調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書三通

判事第一、第三の事実につき

一  収税官吏作成の土地建物売上調査書

判示第一の事実につき

一  押収してある法人税確定申告書(昭和五九年四月期分)一袋(平成元年押第四四七号の1)

判示第二、第三の事実につき

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  収入手数料調査書

2  紹介料調査書

3  有価証券売却損調査書

判事第二の事実につき

一  木村周正の検察官に対する供述調書謄本

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  支払工事斡旋料調査書

2  債権償却特別勘定繰入調査書

一  押収してある法人税確定申告書(昭和六〇年四月期分)一袋(平成元年押第四四七号の2)

判示第三の事実につき

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  支払仲介手数料調査書(九枚綴のもの)

2  控除所得税額調査書

一  押収してある法人税確定申告書(昭和六一年四月期分)一袋(平成元年押第四四七号の3)

(法令の適用)

一  罰条

1  被告会社

いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一、二項

2  被告人

いずれも法人税法一五九条一項

二  刑種の選択(被告人)

いずれも懲役刑を選択

三  併合罪の処理

1  被告会社

刑法四五条前段、四八条二項

2  被告人

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)

四  刑の執行猶予(被告人)

刑法二五条一項

(求刑 被告会社につき罰金四五〇〇万円、被告人につき懲役一年二月)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 中村俊夫)

別紙1

修正損益計算書

自 昭和58年5月1日

至 昭和59年4月30日

(株)バリューインターナショナル

<省略>

別紙2

脱税額計算書

自 昭和58年5月1日

至 昭和59年4月30日

(株)バリューインターナショナル

<省略>

別紙3

修正損益計算書

自 昭和59年5月1日

至 昭和60年4月30日

(株)バリューインターナショナル

<省略>

別紙4

脱税額計算書

自 昭和59年5月1日

至 昭和60年4月30日

(株)バリューインターナショナル

<省略>

別紙5

修正損益計算書

自 昭和60年5月1日

至 昭和61年4月30日

(株)バリューインターナショナル

<省略>

別紙6

脱税額計算書

自 昭和60年5月1日

至 昭和61年4月30日

(株)バリューインターナショナル

<省略>

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